さまざまな理由で、認知症の人と同居することを考えている人もいるかもしれませんね。
私も、軽度の認知症がある祖母と一緒に同居しています。
子ども3人と夫、祖母と毎日忙しい日々を過ごしていますが、その中で感じるメリット・デメリットを今回は紹介したいと思います。
認知症の人といつまで同居できる?
認知症の症状がある人といつまで一緒に暮らせるのか、単純な疑問ですよね。
これには、その人の性格や価値観、認知症の症状の進行具合によって全く違ってくるので何とも言えないところです。
私も専門家数人に、先の見通しというか心づもりもしたかったので相談したことがありますが…。
初めは軽い物忘れから始まってどんどん症状が進行していく人もいれば、物忘れが少しひどくなって機械操作がよく分からないような状態で症状はそのままで最期を迎える人など、さまざまみたいです。
中には、認知症が原因で穏やかな人が怒りっぽくイライラしやすい性格に変わってしまったというのも聞いたことがあります。
認知症の人といつまで一緒に暮らせるのかは、結局のところは本人の症状の進行具合や家族がどこまで一緒に寄り添えるかが大きく関わってくるところかなと思います。
認知症の人と同居するメリット
認知症の人と同居してみて分かったメリットは、以下のとおりです。
- お金の面で負担が減る
- 介護する側が相手の様子を近くで見れるので万が一のときも安心
- 介護される側は住み慣れた家で生活できて環境変化が少ない
メリット(1)双方共にお金の面で負担が減る
これは人によるかと思いますが、私の場合は祖母の家に夫婦と子どもが引っ越してきて同居しています。
以前は、賃貸アパートに住んでいました。
祖母と同居することで家賃がかからなくなったので、月々の家賃分のお金は貯金に充てたり子どもたちの教育費に回したりと経済的にゆとりが持てるようになりました。
祖母の方はこの記事を書いてる時点では、要介護2の認定を受けています。
片麻痺なので、転倒リスクも高く自分の食事を調理して作ったり家電を使ったりと日常生活を自分一人でこなすのは難しい状態。
この場合、特養などに入所するのが一般的みたいなのですが、施設に入るとなるとそれなりにお金がかかるみたいです。
例えば、ロングショートステイを使うと、ひと月20万円ほど支払いが発生しました。
※私が妊娠・出産で祖母の介護が難しいということで、3カ月ほどショートステイに入所してもらっていたことがあります。その時は、個室で平日はデイサービスが利用でき、夕方に個室に帰宅するというものでした。※看護なし
お金の面で負担を減らしたいということであれば、認知症の人と同居するのも大変ではあるものの、アリなのかもしれません。
メリット(2)日々の様子が分かって安心できる
認知機能に不安がある高齢者の一人暮らしは、本人はもちろん周りも何かと心配になるものです。
同居すれば、様子が心配で電話したり訪問したりする必要がなくなるので、その分、精神的・体力的な負担も少なくなります。
何より、いつも近くで本人の様子が分かるので介護される側とする側、どちらも安心感が違うかなと思います。
物忘れが激しくなると、スマホに電話をかけても出方が分からず出てもらえないこともしばしば。
私の祖母もスマホは持っていますが、どうやって出ればいいのか分からないと着信画面を前にぼーっとしていることが多いです。
メリット(3)住み慣れた家で生活できる
自分一人で生活が難しい高齢者の多くは、適切なサポートやケアが受けられる施設に入所するのが一般的です。
認知症の人の場合、住み慣れた家で生活したいという気持ちが強いような気がします。
住み慣れた家で生活できることは、高齢者にとってこの上ない喜びのように私の祖母を見ていると思います。
片麻痺でも、歩き慣れた廊下にある段差はスムーズに超えられるし、入院先よりも足取りが軽やかで歩行も安定しているかのように見えることもあるくらいです。
私の祖母もいつまで自宅で生活できるか分かりませんが、住み慣れた家で生活するということは心理的にもメリットが大きいように思えます。
認知症の人と同居するデメリット
認知症の人と同居するデメリットには、以下のものがあります。
- 介護する側が休みにくい
- 仕事との両立が難しくなる場合も
デメリット(1)介護する側が休みにくい
認知症の人と同居するということは、日々の体調の変化を常に気にしながら生活することになります。
例えば、昨日はエアコンの使い方が分からなかったのに今日は問題なく使えている、1週間前は何を食べたかすらも忘れているのに今週は記憶がしっかりしているなど、不思議なこともたくさん起こります。
それにイチイチ戸惑っていると気が持たないので、うまく受け流す能力も求められます。
家の間取りにもよりますが、大規模リフォームや建て替えをしない限りは、家の空間の多くを介護する人と一緒に共有することになります。
自分1人で休める空間がないと知らないうちに疲れが溜まってしまい、精神的に辛くなる可能性もゼロではありません。
自分の心身の健康を保つためにも、デイサービスやショートステイなどを利用して、うまく介護される側との距離をとることが大切です。
デメリット(2)仕事と介護の両立が難しい
仕事をしながら介護もしている人の場合、同居するとしばしば両立が難しいと思うことが増えてきます。
例えば、デイサービスを利用する場合、夕方には同居者は帰宅します。
一人で留守番させられるくらいの状態ならいいのですが、それが難しい場合は帰宅するまでに仕事を終わらせたり、親族に家にいるようにお願いしたりしなければいけません。
また、ショートステイサービスも、施設によっては日曜日の送迎はないというところもあるので、日曜日が仕事の人やどうしても抜けられない予定が入りやすい人にとってはかなり負担になることもあります。
同居前にメリット・デメリットをしっかりと知ることが大切
認知症の人と同居を考えている場合は、同居のメリットやデメリットをしっかりと知ることが大切です。
同居開始後、こんなはずじゃなかったとうまくいかず、施設入所しか選択肢が無くなってしまうケースもあります。
お互いのためにも、慎重に決断することをおすすめします。

